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彼は幼馴染のために、結婚式を台無しに第2話

第2話は約2,009文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。

私はその動画を見て、目が眩むほどの怒りに震えた。

菜々は隣で、わざとらしくも甲斐甲斐しく振る舞っている。

「大翔さん、私のためにドレスを切っちゃって、小夜さんは怒らないかな?」

「いいんだ。菜々が喜んでくれれば、それでいい。余計なことは考えるな」

動画はそこで途切れ、私は呆然としながらドアに寄りかかった。

どのくらい時間が経っただろうか。ドアが開いた。

大翔はタバコをくわえ、私を見下ろしながら淡々とした口調で言った。

「小夜、ドレスは新しいのを買ってやるから」

私はもう、胸の奥から込み上げる怒りを抑えきれない。全身の力を込めて、彼の頬を張り飛ばした。

「あなたが買った物なんて、誰も欲しがってないわ!

大翔、私たちはもう終わりよ!」

私は彼を強く突き飛ばし、ドレスの破片が無残に散らばった部屋の様子を見つめた。涙で視界がぼやけている。

荷物をまとめ終えると、二人のことは無視して、真っ直ぐ外へ歩き出した。

背後から、菜々の媚びるような、嫌味たっぷりの声が聞こえてきた。

「大翔さん、大丈夫なの?小夜さんもついカッとなっただけよ。怒らないで、早く追いかけてなだめてあげて!」

「なだめる必要なんてない。放っておけ。どうせ二、三日もすれば自分から戻ってくるさ」

私は足を止めることなく、振り返ることもせずにその場を去った。

夜の闇が深く立ち込め、雨粒が乱雑に降り注いでいる。

スマホの配車アプリに応答がなかったので、私は仕方なく軒下を見つけて雨宿りをした。

しばらくすると、一台の高級車がゆっくりと近づき、私の目の前で静かに停まった。

運転席に座っているのは、大翔の叔父である皆川浩作(みなかわ こうさく)だ。

彼は窓を下げ、私に向かって手を招いた。低く冷ややかな声が響いた。

「乗れ」

私が呆然としていると、彼は言葉を継いだ。

「どうした?俺が降りて行ってドアを開けてやろうか?」

私と浩作にはほとんど接点がなかった。大翔と一緒に何度か顔を合わせたことがある程度だ。

記憶の中の彼は、いつも仏頂面で強い威圧感を放つ男だ。

噂によると、幅広い人脈を持ち、仕事も非常に有能。そして、女っ気がないことで有名だ。

迷った末、私は結局車に乗り込んだ。

車内は不気味なほど静まり返っている。フロントガラスを叩く雨音だけが、やけに大きく響いている。

私は気まずさを紛らわせようと、口角を上げた。

「浩作さん、先ほどはありがとうございました」

浩作はわずかに頷き、眉を上げて微笑んだ。

「身内なんだから、他人行儀に礼を言うことはない」

私は目を伏せ、言葉を返さなかった。すると、浩作は笑みを引っ込め、厳しい声で尋ねた。

「大翔と喧嘩したのか?」

私は頷いた後、首を振った。

「彼とは……別れました」

浩作は長い沈黙の後、ポケットからスマホを取り出した。連絡先を開き、次の瞬間、大翔に電話をかけた。

数回のコール音の後、電話がつながった。受話器からは、大翔のへりくだった声が聞こえてきた。

「もしもし、叔父さん」

浩作は眉をひそめ、ゆっくりと言葉を伸ばした。

「明日、結婚式だろう。挨拶でもと思ってな」

すると大翔は鼻で笑い、不真面目な調子で答えた。

「叔父さん、言うのが遅れたけど。明日の式は中止になったんだ」

「どういうことだ?」

「菜々が嫌がってるから」

浩作の表情は落ち着いたままだが、声だけが低くなった。

「小夜がどう思ってるかは、聞かなかったのか?」

それを聞いて、私は思わずハッとした。

縁もゆかりもないはずの浩作の方が、婚約者だった男よりもずっと、私の気持ちを気にかけてくれている。

大翔はのんびりとした口調で、投げやりに言った。

「あいつの勝手だ。

だいたい、これから先ずっとあんな気の強い女と一緒にいると思うと、ゾッとする。

菜々はうつ病だから、俺だって強く出られないのに、あいつときたら増長しやがって。

今も家出なんてして遊んでるけど、俺と別れてどこへ行けるっていうんだ。あんな女、他に誰が拾ってくれるか」

それを聞いた浩作の眉がわずかにぴくりと動いた。彼は短く「そうか」とだけ返すと、忌々しそうに電話を切った。

隣に座る私の胸には、重苦しい感覚が広がっている。

しばらくして、浩作がゆっくりと口を開いた。

「別れて正解だ」

その言葉に、私は少し驚きを感じた。

「え?」

「あいつには、君はもったいない」

浩作は車のスピードを緩め、路肩に停車した。彼は振り返り、私の視線を受け止めた。その瞳には、何かを探るような色が宿っている。

「結婚式がキャンセルになって、家族にどう説明するか考えてるか?」

浩作の言葉に、私は現実へと引き戻された。

父は現在、大翔からの資金援助を必要としている。今ここで婚約を破棄すれば、確かに家への示しがつかない。

私は黙り込み、どうすればよいか分からず、浩作に縋るような視線を向けた。

そして、恐る恐る尋ねた。

「……何か、良い方法はあるでしょうか?」

彼は低く笑い、声を潜めて言った。

「代わりに、俺と結婚するのはどうだ?」

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この目録には次の本の第1章から第3章までが収録されています: 彼は幼馴染のために、結婚式を台無しに。本の残りは公式アプリでお読みいただけます。

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