彼氏からもらったのは偽物のブランドバッグ第1話
第1話は約1,725文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。
家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。
なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。
正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。
それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。
「こちらの商品、偽物ですね」
は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。
* * *
家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。
なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。
正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。
それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。
「こちらの商品、偽物ですね」
は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。
……
「そんなわけないでしょ!レシート見てよ、ここにちゃんとあるじゃない!」って食い下がったんだけど、店員さんは申し訳なさそうに言った。
「確かにレシートは当店のものです。でも、このバッグは偽物ですね。一度、購入された方に確認してみては?」
友達の七海(ななみ)と一緒に店を出たけど、もう頭の中はぐるぐる。
七海がレシートをじっと見ながら言った。「レシートが本物ってことは、平井さんがバッグを買ったのは間違いないよね。でもさ、この偽物って一体何?」
その後もモヤモヤが消えなくて、夕飯の時間までそのことばっかり考えてた。
でも、夜は要とその友達たちとの食事会があるから、気持ち切り替えなきゃって思って。
要に「案件取れてボーナスも出たんだから、たまには外食くらいいいだろ」って言われて、久しぶりに外でご飯することにした。
会場に着くと、要の友達がもう個室で待ってた。ちょっと遅れて要が現れたんだけど、その隣に星野優(ほしの ゆう)がいた。
淡い色のワンピースに身を包んで、腕には......あのバッグ。
七海が私の腕を引っ張って、小声で囁いた。「見て!星野のバッグ、あんたのと全く同じじゃん!」
私も見たけど、本当に同じだった。思わず眉をひそめちゃった。
星野は要の幼なじみで、数年前に結婚したものの、旦那のDVで入院するほど殴られたらしい。何度も痛い目に遭って、やっと離婚できたんだとか。
その後は療養生活が長かったみたいで、その間、要がずっと面倒を見てたんだって。
優は恩返しだって言って、何かと要に頼るようになった。気づいたら私の真似までし始めてた。髪型や服装、どこか私に似せてくる感じで。
要にそのことを話しても、「どうして?君のセンスがいいから真似したんじゃない?」なんて軽く流されるだけ。
だから七海が星野にズバッと聞いた。
「星野さん、そのバッグ可愛いね。どこで買ったの?」
星野は私をちらっと見て、バッグをぎゅっと抱え込んだ。「ネットで買ったの。偽物だから安かったよ」
でも、そのバッグ、本当に本物にしか見えないのよね。私はテーブルにバッグを置きながら言った。「奇遇だね。私も偽物持ってるの」
盛り上がってた空気が、一瞬で凍りついた。
要が眉を上げながら口を開いた。「俺が買ったのはちゃんと店舗で正規品だよ」
私は腕を組みながら言い返した。「でもさっき店に行ったら、これ偽物だって言われたわ」
七海も負けじと嫌味を込めて星野に聞いた。「星野さん、どのネットショップで買ったの?品質いいね。うちの偽物より全然高品質だわ」
星野はムッとした顔で反論した。「何が言いたいの?私がバッグをすり替えたって言いたいの?要お兄ちゃん、彼女たち、私を侮辱してるのよ!」
そのままスマホを取り出して、ネットの購入履歴をみんなに見せつけてきた。「私はこのバッグがすごく気に入ったから、仕方なく偽物を買ったの。それが何か問題?」
ネットの購入履歴を見せられて、さすがの七海もちょっと勢いをなくしてた。
その時、要の友達の堀江浩一(ほりえ こういち)が少し咳払いをして、笑いながら場を和ませようとした。
「まあまあ、誰もお前がバッグをすり替えたなんて言ってないでしょ。さ、冷めちゃう前に食べようよ」