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植物人間だった夫がなんと新婚の夜に目を開けた第2話

第2話は約2,212文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。

シャンデリアの下にいる奏の目は黒曜石の如く、中からは奥深い何かが読めそうで、悩ましいと同時に、危険なオーラを放っていた。

彼の目はいつもと同様、身の毛がよだつほど、人の心を脅かしていた。

びっくりして顔が真っ青になった常盤弥はがばと数歩後退りした。

「とわちゃん…じゃなくて叔母さま、もうだいぶ遅くなったので、私はこれで失礼いたします」

生汗が止まらない弥は、足元をひょろつきながら主寝室から逃げ出した。

弥が慌てて逃げたのを見届けたとわこも、口から心臓が出そうになって、小刻みに震えている彼女の体はどうしてる止まらなかった。

「常盤奏が起きたのかしら?!

もう余命は長くないはず!」というのは彼女の心の声だった。

とわこは何とかして奏に話かけようとしたが、自分の口からはなかなか何も出なくて、もっと近寄って彼の様子を見ようともしたのに、両足はまるで床に固定されたかのように、一歩も動けなかった。

未知への恐怖に包まれた彼女は思わず尻込みをし…下の階へと走り出した。

「三浦さん、奏さんが起きたの!目、開いてくれた!」

とわこのを聞いて、三浦は急いで上の階に上がってきた。

「若奥さま、若旦那さまは毎日目を開いてくれますが、これは意識が回復したことではございません。今こうしてお話をしていても、何の反応もくれずにいますから」ため息まじりに三浦は「植物人間が昏睡状態から回復する確率は極めて低いとお医者さまが」といった。

「夜、明かりをつけたまま寝てもよろしいでしょうか?何となく不安でね」とわこの胸はなおどきどきしていた。

「もちろんです。明日の朝はお家元のお屋敷へ行くご予定ですので、若奥さまは早めにお休みになってください。では、明日の早朝起こしにまたお伺いいたします」

「はい」

三浦を見送ったとわこはパジャマに着替え、ベッドに上がった。

男のそばにいる彼女は、窮屈に座っていた。奏のハンサムで美しい顔を見つめながら、彼女は手を差し出して、彼の目の前で振った。

「常盤奏、あなたは今何を考えているの?」

けど、男は何の反応もしてくれなかった。

彼女の心境は突然変わり、悲しくなってきた。彼の遭遇と比べたら、自分が現に経験している苦しみはつまらないと思い知った。

「常盤奏、私的には、あなたが目を覚めてほしい。あなたは大金持ちだ。あんな大金が常盤弥のクズの手に入るの、あなただって死んでも死にきれないでしょう」

彼女の声が収まったそば、男はゆっくりと目を閉じた。

彼をじっくりと見ている彼女はぼんやりしていて、緊張に煽られ、動悸がしてきた。

レアケースだけど、植物人間の一部には意識がちゃんとある。それを前提として踏まえて、果たして彼は彼女が先発した言葉を聞いただろうか?

男のそばで横になったとわこは胸騒ぎに囲まれ、どれだけの時間が過ぎ去ったもわからなくて、彼女は自分が嘆息を漏らすのを聞いた。

今の自分は常盤家の若奥さま、暫くは虚仮にされることはないはず。

しかし、常盤奏の死後、常盤家がどう扱ってくれるのかはわからない

と思うと、彼女は急に不安な予感がした。

必ずしも、男が死ぬまで、常盤家若奥さまの肩書きを存分に生かして、失われた全てを取り戻すのだ!

自分を虐めた人間には、対価を支払ってもらうと彼女は決心した!

…

翌日、

朝八時。

三浦の婆やに導かれて、とわこは常盤家お家元の屋敷へ上がり、常盤大奥さまに機嫌伺いをした。

常盤家一族の全員が揃っていて、広間に入った後、彼女は尊属の方々にいちいち挨拶をして、お茶をもてなした。

大奥さまはとわこのことを入念に見れば見るほど気に入った。何せ彼女のような大人しいおなごのほうが、コマとした扱いやすのだ。

「とわ、昨夜はよく眠れたか?」

「ええ、お陰様で」と顔の薄く赤らんだとわこが答えた。

「奏くんの様子は?迷惑はかけてないといいけど」

男の美しいのわりに活気のかけらもない顔を思うと、とわこはやや哀惜の念がしてきた。「全く動いてくれないので、迷惑なんでとんでもございません」

確かしに向こうじっとしていたが、男の体から温もりがするのも事実だ。昨夜の彼女は熟睡した後、うとうとしていたら彼のことを抱き枕がわりにした。

夜中に起きた彼女も、自分が男の体に抱きつくことで、大いに驚いた。

「そうだったわ、とわ。これは私からのプレゼント」大奥さまはそう言いながら、紫色の小箱の蓋を開け、彼女に渡した。「このバングルきっととわに似合うよ。どう?気に入ってくれた?」

大勢の面前で大奥様の機嫌を損ねるのはどうかと思って、とわこは即座にバングルを受け取った。「ええ、こんな素敵な腕飾りをいただいて、ありがとうございます」

「とわには多少窮屈な思いをされているのはわかっている。何しろ奏くんはあんな様子だし…床入りは無理だけど、とわにできるだけ味を占めさせる方法なら一つある」ここまで話を持ち込んだので、大奥さまは自分の計画を話してあげた。「奏くんは多分もう長くはないでしょう。前ずっと仕事一心で、恋をする余裕もなくて、子供すら残してくれなかった…」

大奥さまの話はまだ途中だけど、とわこは虫の知らせで胸がざわついた。

子供だと?

よもや自分には常盤奏の子供を産んでほしいとは言わないよねと思った途端、

「だからとわには奏くんの子を産んでほしいと思ってね、これで奏くんの血筋も残れる」

という大奥さまの一言で、とわこは固まってしまった。家族のみんなの顔からも、驚愕が書いてあった。

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