入れ替わった未来第3話
第3話は約1,656文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のうち最後の章です。第4話は公式アプリで続きます。
真由は顔を押さえながら泣くのをこらえ、小さな声で言った。
「お母さん......学校のイベントで......みんなで服を揃えないといけなくて......8000円......高野先生がクラスのグループに連絡してた......」
勇気を振り絞って養母を見上げたが、その瞬間、養母が机をバンッと叩き、怒鳴りつけた。
「学校行かせてやってるだけでもありがたいと思え!今日は文房具、明日は教科書、今度はイベント!?誰がその金を出すんだよ!金はどこから湧いてくるんだ!?」
「先生に言え!金なんかねえ、イベントなんて参加しないって!」
真由はその場で硬直した。「で、でも......みんな参加するんだよ......」
「みんながやるからってお前もやる必要あるのか?お前は何様だ?勉強もできないくせに、余計なことばっかり言いやがって!ダメだって言ったらダメなんだよ!」
養母は再び机を叩き、真由は怯えて首をすくめた。
「何してんだ、この役立たず!早く洗濯でもしろ!」
真由は仕方なく洗面所に行き、一家が一日着た服を全部洗い始めた。狭い洗面所で、汗だくになりながら、ひたすら服を擦り続ける。
その間、外では養父母と兄がテレビを見ながらお菓子を食べていた。楽しそうな笑い声が何度も聞こえてきた。
母はその様子を見て、思わず泣き叫んだ。
「警察に通報する!こんな奴ら、人間じゃない!」
その時、司会者が冷静に言った。
「一度アプリに入ったら、途中で辞めることはできません。途中離脱すると、二人の命に関わる危険があります」
その言葉を聞いた母は泣き崩れた。たった8000円のために娘がこんな屈辱を受けなければならないなんて、到底耐えられなかったのだろう。幼い体でこれほどの苦しみを受ける姿を目の当たりにして、完全に心が折れてしまったのだ。
でも、私はこんな環境で育った。
義務教育の間は学校に行かせてもらえるが、中学を卒業したら、もっと酷い現実が待っている。
真由がイベントに参加できなかったせいで、彼女はクラスで孤立した。先生は特に責めはしなかったが、クラス会でこう言っただけだった。
「集団意識がない子もいますね」
その言葉に、みんなが一斉に真由を見た。
真由はその視線を浴び、うつむいて黙り込んだ。
母はその様子に胸を痛め、画面の前の視聴者たちも様々なコメントをしていた。
「私も子供の頃、みんながイベントで同じ服を着ている時、私は端っこでみんなを見ていたことがあった。あの孤独感は本当に辛い。まるで道化師みたいに、誰にも相手にされない」
「親が悪いとは思わないけど、貧乏だからってこういうことをさせられると、一生消えない傷になるんだよ」
「こんな環境で育って、真由が礼儀正しいとか堂々としてるわけがないよな」
私は鼻で笑った。
そうだよね。こんな環境で健康に育つだけでも奇跡だよ。そんなに求められるわけがないでしょ。
母の顔色はどんどん悪くなり、智也は拳を握りしめたまま私を睨んでいたが、何か言おうとして口を閉じた。
私はその様子を嘲るように見ていた。
中学を卒業したら、真由は「嫁ぎ先」を決められる。
案の定、真由は学校を卒業するまで成績は平凡なままだった。彼女が一番好きだったのは舞踊だった。
ある日、学校の帰り道、商店街のショーウィンドウに映るテレビ画面でダンスの映像を見て、彼女はじっと動けなくなった。そして気づかぬうちに、体が自然に踊り出していた。
その姿を見た母は目を輝かせて言った。
「見て!真由には才能があるのよ!」
私は冷たく言い放った。
「15歳から踊り始めて、基礎もないままなんて、どうやって才能を活かすつもり?それに、もうすぐ、彼女は人生を決められることになるんですけどね」
その言葉を聞いた智也は怒りで顔を真っ赤にして叫んだ。
「雪乃!お前、真由がうまくいくのがそんなに気に食わないのか!?彼女の才能はお前とは違うんだよ!」
私は肩をすくめて答えた。
「そうかもね。でもね、智也、今の彼女の人生は、才能だけじゃどうにもならないのよ。だって、真由はもうすぐ......売られるの」