入れ替わった未来第2話
第2話は約1,542文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。
私は首を振った。「真由、ミスったね。これじゃまた殴られるよ」
案の定、真由がご飯を一口食べようとした瞬間、養母が箸を叩きつける音が響き渡った。次の瞬間、彼女は真由の耳をギュッと掴んで怒鳴り始めた。
「このバカガキ!誰が勝手に卵なんか使っていいって言った!?わかってんのか?卵は男の子が食べるもんだよ!お前みたいな女のガキが卵なんて贅沢なもん食べるな!」
そう言いながら養母は真由を思いっきり殴り、彼女は床に転がされた。皿は粉々に割れ、卵も床に落ちて散らばった。それを見た養母はさらに激怒し、ほうきを掴んで真由を殴り始めた。
真由は怯えながら、体を丸めて必死に逃げようとしたが、養母の手は止まらなかった。
その様子を見て母は耐えきれず声を荒げた。
「こんなの人間のやることじゃない!こんな小さい子が卵を食べたくらいで何よ!」
私は冷たく言った。
「この家にとって卵は男の子のためのものでしかないんですよ。女なんてどうせ損しかない存在なんだから。卵どころか、肉なんて年に一回だって口にできません」
母を横目に見ながら、胸の奥に嘲笑が浮かんできた。
『真由がどんなに才能を持ってたって、こんな環境で夢なんか追えるわけがないでしょ』
生まれた瞬間は皆平等なはずなのに、貧しい家では性別で人生が決められる。それが現実。
画面を見た視聴者たちも、溜息混じりにコメントしていた。
「うちの村もこんな感じだよ。私はここまで酷い親じゃなかったけど、祖父母の弟贔屓はすごかった」
「卵は食べさせてもらえたけど、数が少ない時は必ず弟優先だったな」
「男尊女卑っていつの時代もあるよね。ただやり方が違うだけで。真由みたいな家庭だと暴力は当たり前かも」
「真由、可哀想すぎる......雪乃もこんな環境で育ったなんて......」
その頃、真由は泣き叫びながら何度も謝っていたが、養母は一切許さず、ほうきを放り投げて自分だけご飯を食べ始めた。真由は隅っこで体を丸め、泣きながら自分の傷を舐めるしかなかった。
まだ朝なのに、この後、真由は空腹のまま学校に向かわなければならない。たった6歳の彼女はランドセルを背負い、片道30分の道を歩いて通う。
服も体も汚れている真由は、学校でも誰からも相手にされず、成績も悪いままだった。
こんな家庭に生まれたら、勉強しなければ未来がないとわかっていても、時間が足りない。学校が終わるとすぐに家に帰り、帰るとすぐ家事をさせられる。
その様子を見て母は怒りを抑えきれずに声を荒げた。
「この家、頭おかしいんじゃないの!?こんな小さな子にこんなに働かせて!信じられない!」
「こんなんじゃ、体も成長しないじゃないの!」
私は母を見ながら、淡々と言った。
「私も同じ環境で育ちましたけど。今こうして元気に生きてますよ?」
母は黙り込み、返す言葉が見つからない様子だった。父は険しい顔で私を睨んでいたが、何も言わなかった。
智也は苛立ちを隠せず、怒鳴りつけた。
「そんなの真由には関係ないだろ!真由はこんなことやったことないんだから!」
私は嘲るように笑いながら言った。
「そうね。だって真由は私の人生を奪ったから」
智也は顔を真っ赤にしながら何も言い返さなかった。
毎日毎日家事をさせられた真由の手はボロボロに荒れ、体中傷だらけだった。ダンスなんて夢のまた夢。履ける靴すらまともにないのに。
10歳になり、小学4年生の時、学校で大きなイベントがあって、みんなで衣装を揃えなければならなかった。真由は家に帰ると、誰に言われるでもなく家中の家事を片付けた。
それを見た養母はつまようじをいじりながら、真由を睨んで言った。
「どうした?今日は随分と働くじゃねえか。普段はダラダラしてるくせに。何かやらかしたんだろ?」
そう言うと、いきなり平手打ちを叩きつけた。