共テ当日に殺される?死に戻って復讐モード第1話
第1話は約2,973文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。
大学入学共通テスト一日目。僕は同じ会場のクラスメイトたちと学校で落ち合い、一緒に出発することになっていた。しかし、恋人の二宮朝香(にのみや あさか)は、なかなか現れない幼馴染の藤村駿(ふじむら しゅん)を待つために、出発時間を遅らせていた。
しかし、試験開始まで残り1時間もなかった。このままでは確実に間に合わない。
前世で学級委員だった僕・神崎嶺(かんざき れい)は、みんなに先に試験会場へ向かうよう忠告した。
だが、返ってきたのは感謝ではなく、みんなからの冷たい視線と不満の声だった。
「駿と朝香の仲が良いから嫉妬してるんだろ?駿が受験に間に合ってほしくないって思ってるでしょ!」
土砂降りの中、僕が必死に頼み込んで、ようやくみんなは重い腰を上げた。試験開始5分前、僕たちはなんとか会場へ滑り込んだ。
しかし、試験後に駿に会場の窓から突き落とされ、僕は無残な姿で死んだ。
それなのに朝香は、クラスメイト全員を引き連れて警察に嘘の証言をした。
「駿が共通テストを受けられなくなったのは嶺のせいです!嶺はその罪悪感で飛び降りたのですよ!」
駿はその一件で世間の同情を買い、ネットで人気者になった。
母は僕の潔白を訴え続けたけれど、真相を知らない世間は彼女にまで容赦なく誹謗中傷を浴びせた。心をすり減らした母はある日運転中に事故を起こし、そのまま崖下へ転落して亡くなった。
命を落として初めて、すべてが駿の仕組んだ罠だったのだと知った。
ふと目を覚ますと、朝香がクラスメイトと駿を待っていたあの日に時を遡っていた。
今度こそ、僕は手を差し伸べない。あの恩知らずたちが自滅するというなら、その結末を見届けるだけだ。
* * *
大学入学共通テスト一日目。僕は同じ会場のクラスメイトたちと学校で落ち合い、一緒に出発することになっていた。しかし、恋人の二宮朝香(にのみや あさか)は、なかなか現れない幼馴染の藤村駿(ふじむら しゅん)を待つために、出発時間を遅らせていた。
しかし、試験開始まで残り1時間もなかった。このままでは確実に間に合わない。
前世で学級委員だった僕・神崎嶺(かんざき れい)は、みんなに先に試験会場へ向かうよう忠告した。
だが、返ってきたのは感謝ではなく、みんなからの冷たい視線と不満の声だった。
「駿と朝香の仲が良いから嫉妬してるんだろ?駿が受験に間に合ってほしくないって思ってるでしょ!」
土砂降りの中、僕が必死に頼み込んで、ようやくみんなは重い腰を上げた。試験開始5分前、僕たちはなんとか会場へ滑り込んだ。
しかし、試験後に駿に会場の窓から突き落とされ、僕は無残な姿で死んだ。
それなのに朝香は、クラスメイト全員を引き連れて警察に嘘の証言をした。
「駿が共通テストを受けられなくなったのは嶺のせいです!嶺はその罪悪感で飛び降りたのですよ!」
駿はその一件で世間の同情を買い、ネットで人気者になった。
母は僕の潔白を訴え続けたけれど、真相を知らない世間は彼女にまで容赦なく誹謗中傷を浴びせた。心をすり減らした母はある日運転中に事故を起こし、そのまま崖下へ転落して亡くなった。
命を落として初めて、すべてが駿の仕組んだ罠だったのだと知った。
僕が受験会場の窓から突き落とされた時、耳元で駿が得意げに笑う声が聞こえた。
「神崎、教えてやる。俺は自分の学力じゃあ大学に行けないことを知ってて、わざと遅刻したんだ。
お前が罪悪感で『自殺』してくれれば、俺は被害者ぶってネットのファンを増やせるからさ」
……
突然、頬を打つ雨の冷たさで、混濁していた意識が一気に覚醒した。
目を開けると、 僕は共通テストの会場ではなく、なぜか高校の校門前に立っていた。
目の前にはクラスメイトたちが送迎用にレンタルした貸切バス。そしてその運転手と言い争っている二宮朝香(にのみや あさか)。あの日と寸分違わぬ光景に、僕は動悸を抑えられなかった。
死に戻った――その事実に混乱していた僕だったが、次の瞬間、朝香が怒りに燃えた目でこちらを睨みつけていることに気づいた。
「嶺、なんて自分勝手なの!駿はまだ来てないのよ、たった数分待てばいいじゃない?」
他のクラスメイトたちも一斉に怒りの視線を向けてきた。
「そうだぞ!駿は俺たちのクラスメイトなんだ、見捨てていいはずがないだろ?」
「駿が来るまで、誰もこのバスには乗らない!」
クラスメイトたちの憎しみのこもった視線に、胸が痛んだ。
前世の僕は、みんなが入試に遅れないように、運転手に待たずに出発するようお願いした。
善意から言ったはずなのに、みんなは最後まで僕を敵視したのだ。
朝香が僕の前までやってきて、嫌悪を隠さない表情で言い放った。
「嶺、いくら私の彼氏だからって、今の発言は我慢できないわ!
これは共通テストよ。一教科でも遅れたら、駿の人生が台無しになるのに先に出発したいの?」
僕はそんな朝香の表情を見て、拳を強く握り締め、唇を噛んだ。
唇から血が出るほど噛み締め、平静を装って言った。
「みんながそんなに藤村くんのことを待ちたいなら、どうぞ好きにして。雨がひどいし、僕はバスの中で待つよ」
周囲の突き刺すような視線を無視して、僕は試験会場へ向かう予定の送迎バスに乗り込んだ。
運転手が心配そうに僕を見て言った。
「入試の送迎を何度かやったことがあるから言わせてもらうけど、この土砂降りで早めに出発しないとまずいですよ!」
しかし、返ってきたのは朝香の冷ややかな言葉だった。
「脅さないでください。ここから受験会場までの道はいつも空いているから、間に合わないなんてあり得ないんですから!」
運転手は不満げに運転席に戻り、クラスメイトたちが英雄気取りで雨の中で歓声を響かせていた。
彼らは知らない。僕はもう既に東都中央大学へ推薦入学が決まっていたことを。今さら共通テストを受けられなくても進路には何の影響もないのだ。
それでもみんなと一緒に受けることにしたのは、「共通テスト」というものを体験してみたかったに過ぎない。
まだ一校も合格していない彼らは、自分たちがもうすぐ絶望的な後悔を味わうことになるなど知る由もなかった。
僕は目を赤くして、震える手で母に電話をかけた。
突き落とされたあの光景と、車で崖から落ちて遺体も見つからなかった母の姿を思い出し、涙が止まらなかった。
今回は、この恩知らずたちに自分たちがやったことの代償を払わせる。
彼らがいかに愚かな選択をしたのか、身をもって思い知らせてやる。
刻一刻と時間が過ぎていき、15分後になってようやく駿が息を切らしながら走ってきた。
彼の家から学校までは、走れば十分もかからない。それなのに、まるで全力で駆け抜けてきたかのように息を切らす演技力には、感心するしかなかった。
まだみんなが彼を待ってくれているのが予想外だったのか、彼は一瞬驚いたような表情を見せてから、すぐに笑顔を作って言った。
「やっぱり、みんな俺を見捨てなかったんだね!」
皆が嬉しそうに彼を囲む中、駿は鋭い目つきで僕を一瞥した。
朝香は先ほどまでとは別人のように、優しい顔で駿を見つめて言った。
「安心して、駿。私たちはいつでもあなたの味方よ!」
その時、スマホがピロンと鳴った。
僕は通知の内容を確認すると、思わず口の端を吊り上げた。
緊急ニュースが届いたのだ。土砂降りの影響により、試験会場への道路が水没したらしい。