遅すぎた愛情なんていらない第2話
第2話は約882文字で、このサイトに収録された3章の冒頭章のひとつです。
子供の頃、両親が飛行機事故で亡くなった。親戚もおらず、私はひとりぼっちになった。
聖哉はそんな私を哀れんで、ずっと支援してくれた。そのおかげで、私は無事に大人になることができた。
私たちの関係は、まるで家族のようだった。でも、十八歳の時、私は気づいてしまった――聖哉のことが好きだと。
だけど、分かっていた。私たちは絶対に結ばれないって。
だから、少女の秘めた想いはすべて日記に綴った。
もしも、聖哉があの日記を見なければ……私はこの気持ちを胸の奥にしまって、一生誰にも言わずにいられたはずだった。
でも、彼は見てしまった。
彼は怒りに任せて私の日記帳を破り捨てた。その時の彼の目は、まるで何か汚らわしいものを見るような冷たい視線だった。
「篠原晴美(しのはら はるみ)、お前、どうしてそんなこと思うんだ?」
言い訳しようとしたけど、何をどう説明すればいいのか分からなかった。
結局、私はただひたすら謝るしかなかった。好きになってごめんなさい、そんなこと書いてはいけなかったと。
なぜ「好き」がいけないのか分からなかったけど、彼があれほど拒絶するなら、きっと私が間違っていたんだ。
けれど、彼はそれだけで終わらせてくれなかった。
翌日、何も知らされないまま、私は休学処理をされ、無理やり海外行きの飛行機に乗せられた。
彼は遠く離れた国の、田舎の大学を用意していた。
私が外の世界と接触しないように、彼はボディーガードと家政婦を雇い、24時間体制で私を監視させた。
最初は、なぜそんなことをされるのか分からなかった。
でも、留学して二か月目、彼の結婚のニュースが世間を騒がせた。
その時、ようやく気づいた。彼はずっと初恋の人を忘れていなかったんだ。
聖哉は彼女に、まさに夢のような豪華な結婚式を贈った。その動画を、私は何度も何度も繰り返し見た。
映像の中で、聖哉は夏子を優しく見つめ、彼女の額にキスを落とした。
私に、あんな表情を見せたことは一度もなかった。
その瞬間、はっきりと分かった。彼が私を支えてくれたのは、本当にただ「可哀想だったから」なんだと。
「篠原さん、どうぞお車へ」
助手の声で、私は我に返った。